あと一か月で5年目を迎える彼と別れた日
彼は、私にとって二人目の彼氏だった。
大学二年の夏、彼の誕生日あたりから付き合い始めてもう少しであと5年目を迎えるときだった。
別れたい、と伝えたのは私の方だった。
喫茶店で、おいしそうなランチを頼んで
私はずっとなんて切り出そうか迷っていた。
きっと彼もそんな私の雰囲気を感じ取っているのかわからなかったけど、駅で出会った時とは少し戸惑った空気を出してきていた。
「なんて切り出そうか迷ってるんだけどね、…別れたいと思っている」といった私に彼はこういった。
「半年ぐらい前から俺に興味がないんだろうなって思ってた」
ちょっと意外だった。
確かに私はたぶんそのころから彼のことを優先順位として第一番に出来ていなかったともう。
非常に彼は泣きそうな顔をしながら、店員さんが持ってきたランチに対して
「くえねーよ……」って、多少フォークを頑張って動かしながらもあまり食が進む様子ではなかった。
何かがあったわけじゃなかった。
でも、たぶん長い間過ごしていて彼が結婚相手ではないと、薄々感じ取っていた。
彼が「何が理由?」って聞いたとき、あまりうまく伝えられなかったと思う。
「たまに、タイミングが違うなって思うことがあった」とも言った。
きっと、彼が私にしてくれた気持ちに対して私は100%を返せてなかった罪悪感があったけど、これほど私のことを好きになってくれた人を振ることに対して、「めんどくさいけどこの人しかいないんじゃないか」と思ったけど、ふとした瞬間「それで彼の時間を奪っていいのかな」ってここ最近思った。
そして、いろんな言葉で分かれる理由を伝えようとして最後は、私が彼に対して誠実になれなかったことが一番の理由になった、と最終的に伝えた。
「君が私の中で優先順位が下がってしまっていた、このまま付き合っていても将来のビジョンが見えなかった。」
それは事実だった。
「この前、LINEで結婚について話したじゃん」
うん、覚えてるよ。その時もタイミングが悪い男だなぁって思ってごめんね。
「俺が家業を継ぐために、地方に帰るとき、君がついてきてくれるか話したかった。でも多分、君はついてこないよね」
多分、君が思っている通りの人なんだよ。私はたぶん自分のやりたいことをしてないとたぶん駄目なんだ、って最近凄く思った。
「長く付き合っちゃったね」と彼は言った。
彼は最後まで優しかった。
振ったのは私からだった。
今までもそっけなくLINEを返していたところがあったから、正直そんなにへこむことはないだろうなって思っていたけど、家に帰ってから彼の最後まで優しすぎるLINEにつかれてしまった。
きっと大丈夫、彼は非常に一途だから私じゃないほうがいい。
ふとした瞬間、やりたいことに突き進んじゃう私より、あなたを好きな人があなたを幸せにしてくれるよ。
最後まで、自分勝手な女だったな、私。
喫茶店で、彼は仕事のストレスでやられていることを話した。
「なんで言ってくれなかったの」と言おうとしたけれど、たぶん言ってくれても私は彼に誠実な言葉を投げられなかったと思うから、たぶん話を聞くことが一番の誠実だと思って、何も言わなかった。
彼はランチを半分も食べなかった。
交差点で彼と別れた時、彼は煙草を吸ってから帰るといった。
彼が煙草を吸うのは好きじゃなかった。
彼は私が煙草を吸うことを嫌がった。
別れてから、ドンキホーテによって煙草でも買おうかと思ったけど、ダサくて私はやめてしまった。
彼が、幸せになれますように。